【絆】土屋利紀の肖像
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なんどか注意も受けました」母の多恵子は「見ていて胃がキリキリしました」と語っている。毅明選手たちの団体は、これまで最高の六位入賞を果たした。毅明は「緊張感はなかった」と言う。「日本からたくさんの応援団に来ていただき、その声援に応えないといけないな、とは思いました。所属を「アイトップ』(慶明グループ)としたのは、少しでも宣伝になればと思ったからです」毅明はこのオリンピックで英国女性と知り合い、結婚した。利紀に言った。「自分の牧場をイギリスで持ちたい」利紀は反対をしなかった。「親父も海外に出たかったと言っていましたから、私の気持ちを理解してくれたのでしょう」その後、毅明の牧場にも利紀は顔を見せた。その中で、賭け事に強い、利紀のエピソードを覚えている。「私に会いにイギリスへ来る前に、親父はキルギスタンに外乗りツアlに行ってそのままイギリスへ来る予定でしたが、キルギスタンで財布を取られたらしく、現金もカlドも無くなった。ツアlに一緒に行かれていた方よりカlドを借りてそのまま旅行を続け、イギリスにフランス経由で来たのですが、そのとき、母から現金もカlドも無いからイギリスでの滞在費は払っておいてくれ、と頼まれた。父が着いて現金を渡そうとしたら持っているから要らないと言い、四十万円ぐらいの現金を見せてくれた。フランスでカジノに行き、勝ったからと言われた時は笑ってしまいました」毅明はイギリスに定着してから二十五年になる。現在は日本の代表チームのコーチをしている。「二O二O年の東京オリンピックに向けて、メダルに近い成績が出せるように指導する事が目標です。86

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