【絆】土屋利紀の肖像
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「経営者の娘と結婚したい」利紀は周辺に明確に語っている。財政的な基盤の構築と同時に、相手を探した。妻であり、同志を求めた。自分の周辺からの評価を知るために、興信所に調査を依頼したことがある。これも結婚を意識してのことだったのかもしれない。妻になる大浦多恵子を紹介したのは宮崎県都城市の医師、有満金郎である。多恵子の家でお見合いという形だったが、かしこまった正式な席ではなく、最初は顔見せ程度だった。多恵子の弟の大浦福市(六十七歳)H現・けいめい記念病院長、法人理事長Hはその日のことを覚えている。当時、福市は小学校四年生だった。「利紀さんは軽装で、下駄を履いてきました。姉(多恵子)がお茶を持って行くときに、緊張のせいかそのお茶をお盆ごとひっくり返した、と聞きました」以来、利紀は多恵子の家に顔を出すようになる。気に入った。ただ、二人三脚で自分の夢を叶えてくれる多恵子にはまだ、利紀のような大浦福市理事長と沖縄のゴルフ場にて(2012年2月)56

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