【絆】土屋利紀の肖像
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学術発表論文①【有機リン中毒による症例報告】(1972年)f宮崎地区における有機リンの散布状況並びに有機りン中毒による3・2の症例報告」ここ数年間に有機リンおよびカ}パメイト系農薬による直急性および慢性中主義による視力低下、視野狭務、視神経炎、神経症、肝障害を有する眼病にあることそ北里大学の石川教授等が発表され特に長野県の佐久地区、大阪の堺、守口地区において認められております。これら有機リン剤は現在農家において殺虫剤、殺菌剤、除草剤として非常に多量に使用されており、我が国の有機リンの使用量は世界ーと言われおり、食品に残留し、飲料水に残留し、これらの疾爆も農村だけではなく、都市中央部においても縁者が増加してきていると言われており、大人においても認められますが、特に年齢的に6~9歳の小児、思春期前後、考人に多いのが特徴であると言われております。薬理作湾としてはコリンエステラーゼ阻害剤で非常に強い抑制作淘があり、このため副交感神緩末端、運動神経末端にアセチルコリンの蓄積作用をきたします。このため、昆虫では殺虫作用となり、人畜では中毒作用をきたすといわれております。また、生化学的には肝細胞のライリゾームの破壊により、グノレクロダーゼ、フォスファターゼ、トランスアミナ}ゼなどの活性値の変化および血糖値異常、貧血、CPK値呉常などを認めます。昭和46年から昭和47年にかけて宮崎地方における鍵康な農夫を対象に行いました健康診断について非常に多数の有機リン慢性中毒症ではないかと考えられる患者を認めました。とのことは宮崎地方も有機リン剤による環境汚染が浸透しているのではないかと考えられます。宮崎地方は気候的な条件も佐久地方より長期間多量の有機リン剤を使用しております。このような地区に有機リン系農薬による患者が、特に児叢がいるのではないかと考え注意して観察しておりましたところ、俊久地方における患者と向じような臨床症状を持った約犯人の患者を認めましたので、36年度厚生省研究班による有機リン中毒疲の第26回日本臨床眼科学会昭和47年10jj 21日横浜市教育会館ホ-Jレにて土屋利紀1 174

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