【絆】土屋利紀の肖像
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宮崎県国富町にある介護老人福祉施設「サンフローラみやざき」の庭に、利紀の妻、多恵子の胸像がある。庭は四季折々に花が咲く、広々としたイングリッシュガーデンである。二O一六年四月の胸像除幕式の中で、利紀は挨拶の言葉で触れている。「彼女は花が好きでしたので、ここだったら安心して眺められるだろうと思った」多恵子は生前、「庭をなるべく施設の人たちに見てもらいながら歩いてもらおうというのが二人のコンセプトでした。業者さんに頼んだ庭なんですが、ほとんど土がダメで、全部、土を入れ替えて新しく作り直しました」胸像には「ケイメイグループ創設者」と刻まれている。土屋夫妻は結婚後、波乱の人生をまさに二人三脚で歩き、走ってきた。多恵子は医療法人慶明会の専務兼アイトップ代表などを務め、慶明会の屋台骨を支え続けた。「車で言えば二つのエンジンでした。とかく走りがちな父のブレーキ役にもなっていました」この庭の手入れを怠たることはなかった。夢の裏側第六章福祉編161

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