〈没頭と熱中せよ〉〈念には念を入れる〉〈百の言葉より一つに実行〉有言実行の人だった。介護・福祉への展開も五カ条に沿ったものだった。長年愛用の手帳はポケットサイズの小さなものだった。失くしたときに備えて、常に二冊買っていた。年々の最初のペlジには一年の計を記すのが常だった。そこには介護施設の展開も記されている。「慶明会も時代の変化に応じて十年おきに一つずつ新しい施設を作っています」「さくら苑」を皮切りに、さまざまな施設を開設、介護システムを構築していく。介護老人施設「サンフローラみやざき」、高齢者のマンションともいえる「ケアハウスサンプホlム「サンメリl」・・。「夢を形にする人でした」こう語るのはドア付き浴槽などの製造、販売をしている慶明グループの「ユlフレックス」の代表、有馬佳孝(五十四歳)だ。介護福祉施設の開設は利紀の夢であった。利紀はそうした施設だけでなく、福祉の細部にも目を配り、形にしていく。「先生は、できないと言うなら自分でやってやろう、というパワーを持っていました」ドア付き浴槽とは風呂に入るときに、またいで入らなくてもいいように浴槽にドアが付いている。自力で入ることもできるし、介護の人の助けも軽減される。「お父さん(勇満)を介護したときの経験が根底にあるようでした」・グラン」、認知症患者のグルー158
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