百五十人の患者が来院した。つ友達が休むので自分も休みたい利紀は新聞にこのようにコメントしている。利紀の病院では伝染しないように専門に治療する場所、時間を決めて診療した。隔離しての予防医学だ。流行の中、修学旅行など学校行事をどうするか、といった問題も浮上した。利紀は、宮崎市教育委員会が教諭たちを集めて聞いた「連絡会」の講師を務め、アドバイスをしている。「患者は増える傾向にあり、今の状態では修学旅行を中止すべきだ」こういった努力もあって、利紀の病院ではアポロ病患者の来院はその年の十一月にはゼロになった。新聞の年末回顧欄「今年(一九八一年)の主役」の中で「アポロ病と対決した宮崎中央眼科病院長」として紹介されている。その中で次のように語っている。「感染経路を調べれば、この病気が衛生学的、免疫学的にどのように伝染し、どう消滅したかがわかり、非常に興味深いテlマだ」ここで思い起こしてみたい。利紀の医学博士の学佐論文は「日本脳炎ウイルスのマウス眼球内接種」である。感染症はウイルスによって起こる。アポロ病も感染症であり、利紀の眼科医としてのテ1マと通じ合っている。と病気をうつしてもらっている子が多いようだ」d第五章学術編137
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