「立、派な先先でした」神経学科学の世界的な権威である北里大学名誉教授の石川哲は、土屋利紀についてこのように評価した。「ここ数年間に有機リンおよびカlパメイト系農薬による亜急性および慢性中毒による視力低下、視力狭窄、神経症、肝障害を有する眼病にあることを北里大学の石川教授等が発表され:・」土屋利紀は一九七二(昭和四十七)年、横浜市で聞かれた「日本臨床眼科学会」で、スライドを使いながら宮崎県の有機リンの撒布状況や有機リン中毒などについて報告している。この中で「石川教授」の名前が出てくる。すでに石川は農薬による有機リン中毒について調査、研究していた。石川たちは、子どもを中心に症状が集中していた長野県の佐久地区を調査した。地区内では年に数回、有機リン農薬マラチオンを空中散布していた。この殺虫剤が原因であることを突き止め、止させ、治療を行った。農薬による有機リン中毒症は、佐久地方の名前をとってている。「佐久病」とも言われ空中散布を中有機リン中毒132
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