【絆】土屋利紀の肖像
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次世代にも利紀信奉者はいる。現在、不動産業では地場として宮崎県内トップの「マエムラ」の代表、前村幸夫(六十七歳)である。前村が利紀と初めて会ったのは、宮崎銀行の大工町支庖のゴルフコンペだった。前村はまだ三十歳前だった。利紀の眼科医院には患者として通ったことはなかったが、その姿を見たことがあった。「医者というのはかっこいいと思っていましたし、実際にまたハンサムでしたからね」コンべでは同じグループになった。靴、パンタロン、ベルト、半袖シャツ、ハット。すべて白で統一されていた。まず、そのダンディな姿が前村の印象に残った。利紀が第一打のドライバーを打った。ところが、テイマlクに当たり、ボールが後ろに飛んだ。「初めて見たので思わず、大笑いしました」利紀はその場で打ち直しをせず、後ろのボ1ルを打った。前村はそれにまた笑った。同じ組の人から思い切り頭を殴られた。「マナーがなっていない」前村にとって利紀はひと世代以上の先輩だ。このような「事件」があって、二人は話をするようになった。しばらくして利紀から相談があった。「駐車場が狭いので、後ろのうどん屋を買収してほしい」前村は、詳細で重要な約束ごとを盛り込んだ、精徹な書類を作成して利紀に見せた。「中身の充実度が違う。やはり、勉強したのは違うな、と先生はおっしゃった。仕事として認められたんだなと思いました」120

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