「患者さんには栄養があり、また、美味しいものを出さなくてはいけない」給食の器はプラスチックではなく、陶器だった。「食欲をそそるように美しく盛りつけるのには陶器でなくてはいけない」なぜ、多恵子は京都の大学に行ったのか。これについて、弟で「都城大丸」の元会長兼社長だった大浦克博は説明した。「日本の美は京都にあり、です。美しいものを見て、美味しいものを食べる。ためでもありました」入院患者の楽しみは食事である。多恵子はそれに気を配った。二十四時間体制で、手術もやる。給食もうまい。それと利紀の個性的なキャラクターとコミュニケーションカもあった。利紀は患者一人一人に顔をくっつけるような近さで目を見ながら診察した。「目をしっかり合わせないと互いの心は通じ合わない」利紀の持論である波動の力学であるが、これについては後述する。とにかく、目をしっかりと見つめることが利紀の姿勢だった。患者との会話もこんな風だった。一流の物事を経験させる大浦克博(平成21年、利紀の喜寿祝ぃ)104
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